幸せのカタチ



「この茶碗さ、カルピンがご飯を食べるにしては大きいよね」
ブルーとホワイトのボーダー柄の茶碗を持ちながら、千石は冷や汗をかいていた。
「ああ。だって、これキヨスミ専用だもん。これ位で、丁度いいと思うよ」
不安気な千石に向かって、リョーマはにっこりと笑顔を見せる。
「あの…、オレって一応人間だと思うんデスけど?」
おずおずとリョーマを見上げる千石。
その千石の首には、大型犬専用のリード付きの首輪がリョーマによって付けられていた。
「戌年だし、アンタにぴったり。思ったより似あってるし、良かった。その茶碗、俺の手作り。アンタの好きな愛がたっぷり入ってるから」
「そりゃ、リョーマくんの愛は大好物なんだけど、…これはなんか違うんじゃないかな」
「別に、いいじゃん」
腑に落ちない顔をする千石に対して、リョーマはまるで頓着しようとしない。

「ほら、お手」
ポン。目の前に差し出されたリョーマの手に、自分の手を重ねる。
し・しまったー!つい、ノリでやってしまった。
「えらいえらい。お利巧さんじゃん」
千石の頭を撫でて、チュッと頬にキスする。
「ごほうび」
そう言って、無邪気に笑うリョーマの顔は、とてもとても可愛いもので…。
人間の千石では滅多にというか…、いや、あったか?
あったハズだよね…と、リョーマくんとの思い出の始まりから探らずにはいられない。
(あぁ、オレ…犬でもいいかも。その方が、幸せに生きられるのかもしれない)
リョーマくんとの幸せについて、新年早々考え直すキッカケとなった。

うんうん言いながら苦悩する千石に、リョーマがクスクスと笑いながら冗談だと言うまで、千石は犬のままだった。






VIVA VIVA」の癸紫苑さ まのフリー絵を頂いてきた物です。それに、余計な文章をつけてみました;
2006年戌年=駄犬清純の年にぴったりな素敵なイラストで、自分のネーム入り容器を持って冷や汗を浮かべる清純が可愛いですvご主人さまの風格たっぷ りなリョーマがカッコイイです!
ワンコ姿に清純が慣れた頃、お預けが出来ない駄犬に厳重注意が必要だと思います(笑)

癸さま、どうもありがとうございました。

06.01.11 up

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